コーチングやカウンセリング、対人関係のベースはお互いの信頼関係です。
そして、信頼関係を築くうえで、大切な能力の1つが「共感力」であり、「共感力」とは相手の感情を理解する力と表現されることもあります。
これまでも何度かお伝えしていますが、僕は 他人の感情がよく分かるタイプではありません。
そして、 「相手の感情に寄り添おう」と意識してコーチングや対話をしているわけでもありません。
それにも関わらず、
「安心安全の存在ですね」
「こんなに分かってもらえたのは初めてです」
「またお願いしたいです」
そう言って、リピートでセッションを受けてくださる方が多くいらっしゃいます。
この状況について、 僕自身、長い間疑問に感じていました。
そして最近になって、ある仮説を立ててみました。
1「感情」ではなく「言葉」に寄り添う
結論から言うと、 僕が寄り添っているのは 相手の感情ではありません。
寄り添っているのは、次の3つです。
(1)その人が実際に発した言葉そのもの
(2)その言葉がこのタイミングで出てきた背景
(3)「今、その言葉が発せられた」という事実そのもの
そこでは、感情を読み取ろうとはしていません。
意味づけもしません。
評価もしません。
ただ、
なぜ、今この言葉なのか?
なぜ、この表現なのか?
この言葉が今僕に対して発された背景は何か?
まずはそこに注意を向けています。
2 「感情を分かろう」としない。だからズレない
対人支援の世界ではよく、
「相手の気持ちを理解しよう」
「相手の感情に寄り添うことが大切だ」
と言われます。
もちろん、 それが自然にできる人もいます。
ただ、現場を見ていると、 次のようなズレがとても多いと感じます。
・分かった「つもり」になってしまう
・相手の感情を先回りして解釈してしまう
・無意識に自分のフレームを当てはめてしまう
僕はこれをされるのがあまり好きではないです。
だから最初から、自分は相手にやらないと決めています。
・感情を想像しない。
・感情を要約しない。
・正解を当てにいかない。
その代わり、
「今、この人は、この言葉を選んだ」
という事実だけを、 ただただ丁寧に扱います。
3 言葉をそのまま尊重される体験
人は普段、
・言葉をすぐ解釈され
・気持ちを勝手にまとめられ
・「つまりこういうことですよね?」とまとめられる
というような体験を、 日常的にしています。
だからこそ、
言葉を急いで処理されない
その場で立ち止まって扱われる
「その言葉が出てきたこと」自体を尊重される
この体験が、 強い安心感を生みます。
結果として、
「すごく分かってもらえた気がします」
という言葉が相手から出てくる。
でも実際には、僕は相手の感情を「分かっている」わけではありません。
言葉を雑に扱っていない.
まずはありのまま受け取ってだけです。
4 これは才能ではなく、構造の話
この受け止める力は才能でも、 性格でもありません。
僕自身、 感情を読むことが得意ではないからこそ、(事実として、学校教育の現場では「人の気持ちが分からない子」と言われ続けてきました。)どうすればズレずに関われるのかを、 構造として考え、色んな場面で磨き、試してきました。
だからこそ、この関わり方は、
コーチにも
カウンセラーにも
マネジメントに悩むマネージャーにも
再現可能なものだと考えています。
5 共感とは「感情理解」ではないのかもしれない
共感とは、本当に 「相手の感情を理解すること」なのでしょうか。
もしかすると共感とは、
感情を推測することではなく
正解の解釈を当てることでもなく
うまい言葉を返すことでもなく
「その人の世界が、その人のまま存在していい」
そう扱われる体験なのかもしれません。
そしてその入口として、 最も簡単で、最もすれ違いが少ないのが、「言葉」なのだと思っています。
6 感情に寄り添えないと感じている人へ
もしあなたが、
・共感が苦手だと感じている
・感情を読むのがしんどい
・「ちゃんと寄り添えているか」不安になる
そんなコーチ、カウンセラー、 あるいは部下との関わりに悩んでいるマネージャーなら、 無理に相手の感情を扱おうとしなくても大丈夫です。
そして、その代わりに、
相手から出てきた言葉そのものを大切にする
その言葉が出てきた「今」とその背景を尊重する
分かっていないと自覚できる自分自身を認める
それだけで、 相手は驚くほど安心します。
そして結果的に、
「共感力が高いですね」
そう言われるということが起きます。
逆説的で矛盾しているようですが、 そういう現実も存在しています。
7 最後に
僕はこれからも、感情を読まないコーチでい続けると思います。
そして、
・言葉を軽く扱わない
・世界観を勝手に整理しない
・「今ここ」を丁寧に扱う
この姿勢もまた、 これからも変えるつもりもありません。
それが結果として相手から「安心安全」と感じてもらえるなら、 それでいいと思っています。
僕のコーチングやセミナーでは、 今日書いたような
感情を読まない関わり方
言葉と事実を扱う視点
を、実際の対話を通して体験してもらっています。
もしご自身が、
・共感に疲れてしまった
・マネジメントや支援が重くなっている
・相手の感情が分からなくて自信を失っている
そんな状態なら、 試しに話をしに来てください。
8 お知らせ
『褒めていないのに、なぜか伝わっている 上品な大人のための言葉の選び方講座
― 相手に気付かれずに、自己肯定感がそっと上がる関わり方 ―』
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相手に「褒められた」と意識させずに、
自己認識そのものが、自然と整っていく。
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ほめるのが苦手な人ほど、
実は、自分の発する言葉や相手の存在を大切にしているのだと思います。
2026/1/24(土)9:00-12:00
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